2008 年 64 巻 4 号 p. 369-380
鉄道構造物は経年が百年を超えるものもあり,旧式の構造物から最新の構造形式まで様々な年代の構造形式が存在する.また,その種類も盛土,トンネル,橋梁など多岐にわたっており,メンテナンスの守備範囲は広い.鉄道では,昭和40年ごろを境に防災投資の増加とともに,事後保全から予防・事後を組み合わせた効率的な保全に変わり,事故も減少した.しかし,高度成長期に建設された大量の鉄道構造物の経年も40年を超えてきており,注意深くメンテナンスしなければならない対象構造物の量が加速度的に増加している.このような背景をふまえ,まず,メンテナンスの変遷と現在の課題を述べ,鉄道構造物維持管理標準を紹介する.次に,現在の課題を解決するための最近の取り組みを紹介する.最後に,メンテナンスについての今後の研究開発の展望について述べる.