抄録
本研究の目的は,コミュニティ・スクール指定校におけるコミュニティ・スクール委員の学校運営に関する見解及び地域との関係づくりに関するプロセスを明らかにすることである。本研究では,A市公立小学校の委員13名に対して半構造化インタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析を行った。分析の結果,19個の概念と10個のサブカテゴリー,4個のカテゴリーを生成し,概念間,及び,カテゴリー間の関係が図にまとめられた。そして,個人的見解<子供と先生のため><学校は地域の財産><持続可能>の様相,及び,個人的見解を起点に派生活動や周辺的成果につながる連関のプロセスの存在を明らかにすることができた。また,周辺的成果<満足感>が個人的見解<持続可能>に影響を及ぼすという循環構造を実証できた。一方で,教育委員会に対するつながりの不透明さが11名の調査協力者の語りから浮き彫りになった。