2010 年 66 巻 3 号 p. 382-401
振動モニタリングを継続的に実施して同定される振動特性の相対的な変化に基づいて,社会基盤施設の異常を早期に検知することができれば,維持管理の効率性は飛躍的に向上する.本研究では,毎日定刻に,ほぼ均一な速度と荷重を持つ列車が走行する鉄道橋に着目し,走行列車荷重を利用した振動モニタリング手法を提案する.鉄道橋への入力となる列車荷重の計測が困難であるために,はじめに未知外力作用下における振動特性の同定手法を検討し,振動計測システムの構築を行った.さらに,提案手法の有効性を検証するために,実際の鉄道橋2橋を対象としたフィールド試験を実施し,固有振動数と振動モード形を同定するとともに,2,3の分析を通して固有振動数が異常検知指標となりうる可能性を実証的に示した.