抄録
将来の日本社会の変化を想定しながら木質資源フローに関わる政策シナリオを評価するフレームを構築し,住宅の耐用年数延長,木造住宅の増加あるいは減少,古紙利用率の向上,バイオエタノール利用の推進といった複数の政策シナリオによる2050年までの住宅部門,製紙部門,木質エネルギー部門における木質資源フローの変化およびライフサイクル的なCO2排出削減効果を評価した.住宅の耐用年数延長と同時にバイオエタノールの利用を推進する政策シナリオは,住宅部門,木質エネルギー部門双方においてCO2排出削減効果が大きくなり,政策を実施しない場合と比較した2050年のCO2排出削減量は,1990年の日本全国CO2排出量の約4%に相当した.