抄録
汚染土壌中の重金属の溶出性は重金属の化合形態によって異なり,結果として汚染土壌からの重金属の移動性も大きく異なることになる.本研究では,溶出性の観点から汚染土壌中の鉛やふっ素,水銀などの化合形態を調べるため,蒸留水による抽出処理と酢酸による中和処理の後にBCR逐次抽出法を実施する改良法を用いた.この方法を用いて汚染土壌中の重金属を溶出性の観点から分画し,その分布を示すとともに,汚染土壌に含まれる重金属の存在形態を推定した.また,環境省告示46号法や,最大溶出可能量を把握するとされるAvailability試験(NEN7371)による結果との比較から,長期にわたる汚染土壌からの溶出可能な成分の割合を推定した.