土木学会論文集G
Online ISSN : 1880-6082
ISSN-L : 1880-6082
和文論文
森林域において河川の粒状有機物動態に及ぼす試験湛水期のダムの影響
小林 慎也吉村 千洋河井 良友葛口 利貴李 富生
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 65 巻 4 号 p. 237-245

詳細
抄録
 粒状有機物動態に対する試験湛水期のダム(徳山ダム)の影響を解明するために,揖斐川上流域の森林河川を対象として2007年8∼12月に調査を実施した.その結果,ダムの影響がない地点では粒径1μm以上のすべての画分で他生性有機物(河畔林由来)が優占しており,2mm以上のPOMでのみ落葉期に対応した季節変化が見られた.ダム直下では粒径2mm以上のPOMでのみ有機炭素濃度が低下していた.また,粒径63μm∼2mmのPOMでは下流3km区間でダム由来の POMの約50%が交換されていることが示唆され,1∼63μmのPOMではダム下流でも土壌由来有機物が優占することが示された.よって,試験湛水期におけるダム貯水池での一次生産の低さが,ダム下流河川での有機物動態にも反映されていたと考えられた.
著者関連情報
© 2009 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top