2013 年 69 巻 2 号 p. 162-173
近年,薬液注入工法については数多くの研究開発が進められ,液状化対策のように長期的な改良効果を期待する工事にも利用されている.しかし一方で,設計の観点からは,長期経過後の薬液注入工法による改良体の物理的な状態変化を定量的に予測する手法がないことが課題となっていた.そこで本研究では,実験室で促進養生した改良体の物性値変化を把握し,この物性値変化に薬液に含まれるシリカが密接に関係していることを解明した.この促進養生に伴う改良体内部のシリカ濃度変化を表現できる拡散方程式に基づく数値解析手法を構築し,その妥当性を促進養生試験結果をもとに確認した.さらに,この手法を利用して実地盤における薬液注入による改良体の100年後の物理的な状態を推定し,改良体の耐久性評価の考え方を提案した.