2013 年 69 巻 2 号 p. 211-225
近年,レール頭頂面の凹凸により地盤振動が顕著に増大した事例が報告され,軌道不整による影響が無視できない場合があることが確認されている.本報告では軌道不整の地盤振動への影響について,数値シミュレーションにより検討した.その結果,振動値が軌道不整波形に依存して線路方向の空間変動が見られる場合,振動の最大値および最小値は軌道不整波形の凸部および凸部の直前に位置していること,振動値の線路方向の平均が増加する範囲では,列車速度に関わらず軌道状態を表す振幅の対数にほぼ比例して平均振動値が増加することが分かった.上記の軌道不整波形に依存した振動値の変動や振幅の対数に比例した平均振動値の増加が見られる範囲は,列車同期成分と位置同期成分の振動値の寄与割合が影響していると考えられる.