2014 年 70 巻 1 号 p. 33-43
本論文は,高圧湧水下でのグラウチングの注入範囲設定に関する理論構築及び考察について論述する.注入範囲における地下水の浸透力に着目し,坑道周辺に作用する地下水圧を算定することにより,注入範囲で受けもつことができる圧力と注入範囲に作用する圧力との関係を示した.その結果,高圧湧水下で地山粘着力が小さい条件では,注入範囲で受けもつことができる圧力は,作用する圧力を下回る場合があり,地山の安定に不利な可能性があることがわかった.さらに,注入範囲の透水係数の低減割合と作用する圧力との関係として,注入範囲の透水係数を小さくするほど注入範囲に作用する圧力は大きくなる結果が得られた.本論文では,これらの結果を把握したうえで注入範囲設定を評価することの重要性を提示した.