抄録
急峻な地形と脆弱な地質という素因を有す斜面を膨大に抱える我が国は,災害に強い安全な国土づくりを目指し,道路防災に対して予防保全という考え方が取り入れられている.予防保全の観点では,現時点で,明確な挙動変位を示していないのり面・斜面に対しても,斜面崩壊の素因から現状の危険度を把握する必要がある.特に中国地方は,潜在的な危険素因を有す斜面が非常に多いため,昨今の局地的集中豪雨の増加現象を鑑みると,土砂災害の予防保全に対して楽観できない状況である.
本研究は,中国地方の地形地質・降雨傾向と過去の高速道路斜面の災害履歴の関連性について,道路防災に対する予防保全の観点から表層地質に着目して分析評価を行い,その特徴を導き出したものである.