2017 年 73 巻 1 号 p. 45-61
斜面の安定問題は古典的な問題であるものの,複雑な動的応答特性と崩壊挙動を解明するため,未だ研究が進められている.特に複雑な地質特性や地層構成,ばらつきのある地盤物性を有する自然斜面の安定性を評価するのは容易ではない.本研究では岩盤斜面を対象に,その動的応答特性と崩壊挙動を明らかにするため,動的応答特性と破壊挙動の異なる二体の大型斜面模型を構築し,大型振動台による水平・鉛直同時加振による加振実験を実施した.加振実験結果により,水平方向と鉛直方向加速度の位相差により斜面模型の動的応答が異なることが分かった.さらに,すべり面の進行の様子を精密に計測することに成功し,斜面模型の崩壊挙動を明らかにした.