2017 年 73 巻 4 号 p. 396-411
構造物基礎の設計では,弾性床上の梁理論に基づく等価線形解析により基礎の変位が計算される.この等価線形解析における重要な地盤パラメータに地盤変形係数がある.地盤変形係数は,軸差応力-ひずみ関係の割線勾配として定義される指標であり,設計で着目する基礎の変位や地盤のひずみレベルに応じて,本来変化させるべきである.しかしながら,従来の地盤変形係数の推定方法は,着目する地盤のひずみレベルが不明確であり,このことが基礎の変位計算の精度を低下させていると考えられた.そこで,本研究では,各種調査方法間の整合性,関係性を理論的に考察した上で,日本全国の橋梁架設地点で実施された地盤調査データに基づいた統計解析により,地盤調査法とひずみレベルを考慮した合理的な地盤変形係数の推定方法を提示している.