2019 年 75 巻 2 号 p. 234-247
地震時の盛土被害の原因として,従来は盛土下の砂質地盤の液状化が着目されることが多かった.しかし,2011年の東北地方太平洋沖地震では,粘土層や泥炭層が堆積した非液状化地盤上の河川堤防でも多数の被害が確認された.本研究では,圧密履歴を受けた粘性土地盤上の盛土の動的変形機構の解明に向け,盛土構築前の基礎地盤の圧密状態(正規圧密,過圧密)を変化させ,遠心場での振動実験を実施した.その結果,地震時の盛土堤体の変形量は盛土載荷に伴う基礎地盤の変形量と比べて小さいが,盛土載荷から地震時に至る盛土天端の合計沈下量の20~30%を占めることが示された.また,盛土載荷時に正規圧密地盤の圧密沈下の影響を大きく受け変形した盛土堤体は,過圧密地盤上に構築された堤体と比べて地震時にさらに変形が拡大することがわかった.