2021 年 77 巻 3 号 p. 213-232
グラウンドアンカー(以下,アンカー)は,自然斜面や切土,構造物等の安定化を図る目的で用いられる.アンカーは,一般に自然地盤に設置されるため,対策効果を発揮するためには,アンカー自体に常に応力が作用し,地盤にも負担が生じる.アンカーおよび地盤の安定性を評価するためには,アンカーに作用している現状での緊張力を確認しなければならない.アンカーの残存緊張力は,リフトオフ試験や荷重計で確認できるが,多数のアンカーを,長期的・定期的に計測することは,費用面および安全対策上困難である.本論文では,こうした課題を解決するために,模型実験と現場実証試験を通し,振動法を用いた新しい非破壊計測方法を提案した.その結果,誤差10%程度以内の精度で,3種類の定着タイプのアンカーの残存緊張力を推定することが可能となった.