2022 年 78 巻 4 号 p. 321-340
斜面のり枠工は豪雨・地震災害の頻発する我が国で斜面防災を担う不可欠な技術の一つである.従来ののり枠工では低スランプモルタルをエア搬送していたが使用骨材の分離などによって強度不足となり易いため,一般土木工事と同じくコンクリートポンプにより圧送し輸送管先端でエア吹込みする施工方式を開発した.これにより高スランプ材料が材料分離を起こさず長距離・高所までポンプ圧送したのち,エア吹込みによりスランプの低下を図りながら急斜面上の型枠にも材料分離,流動,ダレなどを起こすことなく打設できることを示した.そのために重要なエア吹込み打設時の水分飛散現象に着目し打設後のスランプの適切な管理法を設けると共に,セピオライトを添加することで打設後のモルタルに分離抵抗性とダレ抵抗性を付加しのり枠工の高品質化を図った.