抄録
1991年から2008年に,利根川水系鬼怒川の黒部ダム下流4.5kmの水域において,河床の露盤化の推移を調査した.露盤河床は1991年に19箇所,2001年に27箇所,2006年に41箇所,2008年に50箇所確認された.露盤河床の総延長は,1991年の571mから2008年の1,309mに増加した.距離100mごとの区間に占める露盤河床の長さの比率はダムに近い区間ほど高かった.流下してきた土砂が黒部ダムで捕捉されて下流への供給量が低下し,その一方で流水がダム下流の土砂を運搬するため,露盤化が進行していると推測された.露盤河床を礫河床に復元するためには,ダム下流に土砂を供給するとともに,流下した土砂を捕捉する構造物を河床に設置する必要があると考えられた.