諫早湾内の海上風データと塩分データを用いて,塩淡成層構造の風応答特性を調べた.諫早湾では,夏季に南南西の風と北北東の風が卓越する.筑後川から供給された淡水は,一般に有明海奥部西岸に沿って輸送され,諫早湾口に達することが知られている.筑後川から10
8m
3/dayオーダの淡水が有明海奥部に流出し,北寄りの風が連吹すると,諫早湾内では強い塩淡成層が形成される.これは,筑後川起源水の諫早湾への流入が,北寄りの風によって加速されるためである.その後,南寄りの風が連吹すると,湾奥部の塩淡成層は解消する.これは,上層の低塩分水が有明海側に押し戻されるためである.データ解析から,諫早湾上を連吹する風は,諫早湾内の塩分構造に大きな影響を与えることを見出した.
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