抄録
本論文では,都市流域において,水循環系の再生に寄与する雨水浸透施設が家屋などの個々の人工物に設置されることに着目して,不浸透地物と浸透地物に基づいて流域のモデル化を行い,地物一つひとつに設置されている雨水浸透施設の情報を付加して高度な地物データGISを作成し,雨水の地下水涵養過程を忠実に表現する都市流域地下水涵養モデルを構築した.次いで,神田川上流域を対象に実際の雨水浸透施設データを用いてモデル化を行い,実降雨による個別の浸透施設からの浸透量をシミュレーションすることにより,対象流域における浸透施設の地下水涵養および流出抑制に対する効果を評価するとともに,将来増加が予測される雨水浸透施設の設置シナリオを想定し,その効果を予測・評価した.