2012 年 68 巻 2 号 p. 90-102
開水路ワンド流れは豊かな水性生態系を創出する重要な機能をもつため,最近ではこれを人工的に設置するプロジェクトが全国で推進されている.一方で定期的な水交換や土砂対策を怠るとその機能が失われかねないため,適切な維持管理が求められる.これを実現するためにはワンド内部の流れ構造,物質交換特性および土砂輸送機構の解明が急務である.そこで本研究では室内水路における乱流計測を行って流れの3次元構造を明らかにした.またLIFによる染料濃度の輸送計測を行い,ワンド内部の大規模循環流やせん断組織構造による物質輸送プロセスを解明した.特に土砂堆積を想定して路床形状を変化させてこの影響について詳細に検討した.さらにガス輸送モデルをベースにして主流とワンド間の物質輸送に関する新しい物理モデルを提案した.