抄録
大都市における大規模洪水を想定した避難対策の検討においては,膨大な人口の存在が避難の障害にもなり得ることから,人口規模とその影響を正しく考慮する必要がある.本研究では,このような問題意識から,大都市における大規模水害時の避難問題の把握や対応策を検討することを目的として,65万人超の人口を擁する江戸川区を対象に,洪水氾濫や住民避難,そして浸水被害の状況を精緻に表現するシナリオ・シミュレータを構築した.そして,荒川決壊時における住民の避難意向を反映したシミュレーションから,大規模な避難者の発生が被害拡大を誘発するという都市部特有の避難問題を把握した.さらに,被害低減策を想定したシナリオ分析から,避難需要の低減や避難者の空間的,時間的な分散化などの対応策が重要であることを明らかとした.