抄録
本研究では,沿岸域を対象とした水質モデルの再現性を向上させるため,4次元変分法による水質データ同化システムを構築し,その有効性を2つの双子実験により検証した.実験1では3次元流動水質モデルに擬似的な観測値を同化した結果,観測値と同じ状態変数の初期値を修正し,再現性を向上させた.実験2ではパラメータ推定を加えることにより,水質モデルにおける11の状態変数すべての再現性を向上させることに成功した.また,観測値を採用する制約条件を課したことで,12時間の同化ウィンドウでも安定した同化計算を可能にした.近年整備が進められつつある定点観測データを想定した本実験の結果は,今後の実観測データを用いた解析の評価につながる結果となった.