2017 年 73 巻 4 号 p. I_1177-I_1182
自然河川流域では,栄養が洪水時に主として粒状体として流域から下流端を通じて海へと流出する.それに対して,サケやマスなどが河川を遡上する場合には熊や猛禽類により流域全体に栄養が還元される.栄養の還元に関しては安定同位体比を利用する方法が存在するが,粒状体の流域から海域への輸送に関してはより新たな手法を提案し検討する余地が残されている.そこで本研究では,下流端への細粒土砂の輸送割合を推定する手法を提案し,安定同位体比分析とを合わせて栄養循環に関する考察を行うことを目的とする.細粒土砂の輸送割合の推定に関しては,蛍光X線分析を利用し,ベイズ理論を利用した重回帰分析を行うこととした.その結果,単純な重回帰分析およびニューラルネットワークを利用した手法と比較することにより,本研究で提案している手法の妥当性を示すことが出来た.