抄録
川内川流域では,平成18年7月に活発化した梅雨前線による記録的な大雨によって甚大な被害が生じた.その際,鹿児島県さつま町の宮之城水文観測所では,7月22日の10:00から11:00の1時間に1.94mという急激な水位上昇が生じていた.このような水位上昇が生じた原因を明らかにするために,本研究では,山地降雨流出解析モデルを構築し,降雨の時空間分布が水位上昇に及ぼす影響を調べた.その結果,宮之城周辺における激しい降雨が宮之城での急激な水位上昇の主因であるが,前日の先行降雨を経た後の小康状態から激しい降雨への短時間での移行,さらにはその後の比較的強い雨の継続という時間変化も影響を及ぼしていることが示唆された.