抄録
洪水防御計画の基となる過去の降雨観測データは地点数及び観測期間という面において必ずしも十分ではなく,既存の降雨データをどのように活用するかは未だ重要な課題の一つである.そこで本研究では,時空間高解像度であるレーダーアメダス解析雨量とモンテカルロシミュレーションにより,過去の限られた観測降雨から,観測データには含まれないような数千年分もの豪雨イベント発生を試みた.本稿では,関東地域において作成した豪雨イベントデータを用い,平成27年9月関東・東北豪雨の再現期間を計算し,他の研究結果との比較を行った.さらに,時空間スケールや入力データの年数を変化させ,結果を比較することにより,作成したデータセットにどのような特色が見られるかを調べた.