抄録
2013年8月に発生した記録的な暑夏を対象に快晴で穏やかな8日間を抽出し,71地点における多点同時長期観測データに基づいて福岡都市圏全域における熱環境特性を調べた.日中においては,海風侵入によって海岸線から約4kmの範囲でcool areaが形成される.日射によって都市域が加熱されるにつれ海風は河川に沿って内陸域に侵入するため,cool areaが河川に沿って発達する.河川に沿った海風侵入によって,沿岸付近では4つの孤立した明瞭なhot spotが形成される.夜間では,放射冷却のため福岡市の中心地である天神周辺で気温が最大となり,郊外に向かって低下するという沿岸都市特有の島状のパターンが形成される.最高気温からの偏差を求めることにより,夜間における福岡都市圏の気温平面分布を普遍的に表した.