抄録
常呂川水系無加川では,河床の礫が流出し,その下部の軟岩や火山灰層が露出した場合には,洗掘や河床低下が急激に進行する.このため,洗掘抵抗が低い軟岩や火山灰層の空間的な分布を把握することは防災計画を立案する上で重要である.地盤剛性に関するパラメータであるS波速度の2次元分布を取得可能な表面波探査は有用な方法であるものの,水流がある河道内での実施例は無い.本研究では,水流の影響を低減できる治具の開発,水面下での地震計の設置方法,河道内での起振方法について検討した.その結果,新たに検討した手法を用いて得られた水面下でのS波速度は現地の状況と良く一致した.また,深度6mまでの結果に着目すると,水面下の河道内から陸域までのS波速度分布の連続性は良好であった.