抄録
本研究では,負の浮力を持つ密度噴流を計算する3次元数値モデルを液化天然ガス基地から冷排水が放水される現地海域に適用し,観測結果との比較を通じて,モデルの妥当性を検証する.計算結果は冷排水が希釈されながら,海底に向かって沈み込み,潮汐によって拡散範囲を変化させる一連の過程を定性的に再現し,現地観測で得られた水温ともよく一致した.一方,本モデルによる水温低下範囲は,従来沿岸域での負の浮力を持つ密度噴流の拡散計算に用いられてきた平面2次元数理モデルによる水温低下範囲より狭くなった.これは平面2次元モデルが斜面を流下する冷排水の混合挙動を評価できない為であり,複雑な地形の沿岸域での負の浮力を持つ噴流の拡散予測には,本3次元モデルのように,海底地形条件を直接考慮できる手法が必要である.