2017 年 73 巻 4 号 p. I_775-I_780
著者らは降雨流出氾濫モデルの一つであるRRIモデルに土砂輸送モデルを実装することで降雨・流出・氾濫・土砂輸送モデル(RRIS model)を構築した.ここでは,RRISモデルを説明すると共に,同モデルを検証するために鬼怒川上流の川俣ダムにおいて土砂流出現象を再現することを試みている.台風性降雨を経験した川俣ダム流域は土石流による大規模な土砂生産を経験し,そのときの土砂流出量は通常と比較すると同規模の降雨に対して10倍程度の土砂堆積が確認されている.これは流域内の土砂生産や貯留している土砂量とその粒度分布に関連している.本検討では既往最大クラスの降雨を抽出し,それを連続的に与えることで回数に応じた累積流砂量と粒度分布の時間変化を関連付けた.