2017 年 73 巻 4 号 p. I_841-I_846
過去に著者らが確認した覆礫厚が薄く(砂州波高の半分の厚さ),固定床が平滑な条件での露岩部の伸長現象をより詳細に把握するため,水理実験を行った.通水時間を著者らによる既往研究よりも長くしたケースでは,著者らによる既往研究と同様に,水路中・上流側で砂州前縁部の露岩部が伸長し,下流側においては短縮することを確認した.さらにその後の通水では,水路上流端で新たに発生した砂州の前縁部の露岩部が伸長し,直下流部の伸長していた露岩部(砂州)が短縮した.このことから,覆礫厚が薄く,固定床上が平滑な条件での露岩部(砂州)の挙動の特徴として,露岩部(砂州)の延長が安定しないことが明らかとなった.また,水路底板に粗度付したケースでは,水路底板が平滑なケースと比べ,露岩部の伸長が低減されたが,交互砂州状に発生した露岩部の総延長は変わらず,露出率の低減は少なかった.