抄録
本研究では,洪水時でも移動しない大礫が骨格を構成する河床の流砂現象に着目した.著者らは,河床材料を大礫(L粒子),掃流砂として移動する砂礫(M粒子),浮遊砂として移動する砂(S粒子)の三つの粒径集団に分けて,これらを一つの粒径で代表させてきた.しかし,現地の河床材料は連続する粒度分布をもつため,掃流砂礫に粒度幅をもたせることが河床の鉛直構造に与える影響について調べた.その結果,いずれの場合でもL粒子群の間隙内でM粒子のみからなる層が形成された.さらに,層内で粒径毎に上面の高さが異なるような鉛直分級が生じた.また,一連の研究で検討してきた平衡状態に関する基礎的な知見をさらに積み上げていくことにより,河床の変動過程の把握につながっていくと考えている.