土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第62巻
浸水被害確率マップ作成手法の開発と宅地かさ上げによる便益評価への応用
田中 智大市川 温萬 和明立川 康人
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2018 年 74 巻 4 号 p. I_1477-I_1482

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抄録

 気候変動による超過洪水リスクに対応するためには,非構造的対策を含めた総合的な水害リスク管理が重要となる.そこで,これまで浸水被害額の確率分布である水害リスクカーブを作成する手法が開発されてきた.水害リスクカーブを用いることで対象領域全体のリスクおよびリスク軽減策の効果を評価できるが,建築規制や水害保険といった対策の費用は各世帯が負担するため,軽減効果も各世帯ごとに評価することが重要となる.そこで本研究では,水害リスクカーブ作成手法を応用して浸水被害額の確率分布の空間分布である浸水被害確率マップの作成手法を提案し,淀川流域(8,240 km2)の京都市周辺域を対象に浸水被害確率マップを作成する.次に,非構造的なリスク軽減策の1つである宅地のかさ上げを対象に,浸水被害確率マップを用いて対策による地先の便益を推定する.また,現実的な宅地かさ上げ対策として住居の建て替え時期にかさ上げを実施するシナリオを想定し,建築時期別の世帯数データを用いることでリスク軽減の経年変化を推定する.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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