2018 年 74 巻 4 号 p. I_241-I_246
既存の平均放射温度測定手法全てにおいてオープンスペースでの定点観測と街区内での移動観測を行うことで,包括的な精度検証を行った.6方向放射測定法(MRT_true)を真値と考え,直達・上下放射測定法(MRT_dir),測定の容易な1球のグローブ温度計を用いた手法(MRT_gray)とグローブ風速放射センサ(MRT_GAR)による手法を比較した.1分平均値でみた定点観測の結果では,MRT_dir,MRT_gray,MRT_GARでMRT_trueと比較したときの最大誤差は4.1 ℃,13.1 ℃,9.9 ℃であり,平均二乗誤差はそれぞれ1.32 ℃,5.43 ℃,1.94 ℃であった.移動観測ではMRT_gray,MRT_GARでMRT_trueと比較したときの最大誤差は13.2 ℃,11.5 ℃ほど生じることもあるが,地点ごとの平均値でみるとそれぞれ6 ℃,3 ℃未満に抑えられていた.定点観測で十分な測定精度を示し,移動観測への適正が高いMRT_GARの高いポテンシャルが示された.