2018 年 74 巻 4 号 p. I_463-I_468
汎用型海洋モデルをベースとした懸濁態輸送モデルでは,水深の増加とともに海底付近の鉛直空間解像度が低下し,幅広い水深帯に渡って海底近傍の懸濁物動態を精度良く評価することに課題があった.そこで本研究では,計算座標系(σ座標系等)の最下層に鉛直分布モデルを適用することで,水深変化によらずに海底近傍の懸濁物濃度を正確に評価可能な境界層モデルを構築した.本モデルを単純な非平衡浮遊砂輸送問題や実海域に適用し,通常の差分法では過大評価する底面近傍の底質濃度,濃度フラックスを本モデルが適切に評価することを確認した.