土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第62巻
ビデオゾンデで測定された上空の雨滴に対する捕捉効率に関する研究
小川 まり子大石 哲鈴木 賢士中川 勝広山口 弘誠中北 英一
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2018 年 74 巻 4 号 p. I_49-I_54

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抄録
 ビデオゾンデの捕捉効率の定量的な評価を行うため,沖縄本島で実施された梅雨集中観測におけるビデオゾンデ,ディスドロメータ,偏波レーダーのデータをもとに,高度2500m以下のビデオゾンデ観測データを対象として,地上に設置したディスドロメータによる粒径分布が上空でも適用できると仮定し,参照値として用いることによって捕捉効率を評価した.時間・空間・事例の違いによる雨滴粒径分布の変化が小さいとき,捕捉効率のばらつきが粒径分布パラメータの推定に必要なビデオゾンデの粒子サンプル数と粒径分布パラメータの推定結果のばらつきに及ぼす影響を乱数実験により評価した.
 粒径が0.5-2.4 mmのとき捕捉効率の50パーセンタイル値は約0.2であった.粒径が1.5 mm以上のとき捕捉効率の変動が大きくなった.粒径分布の形状パラメータ推定のため,100個以上のビデオゾンデの粒子サンプル数が必要であることが示された.大きい粒径クラスに対する最適な捕捉効率が明らかになれば,ビデオゾンデ観測から上空の雨滴粒径分布の推定を行うことができる可能性があることが分かった.
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© 2018 公益社団法人 土木学会
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