抄録
排砂バイパストンネル(SBT)は,日本とスイスがリードする貯水池堆砂対策手法である。しかし,SBTは水と共に高速で流下する土砂によるトンネル底面の摩耗問題を抱えており,維持管理設計基準の確立のためには,SBT内を流下する土砂量の計測が求められる.そこで,既存の掃流砂観測技術をSBTの高速流に耐えうるように平板型に改善したインパクトプレートと呼ばれる計測技術を提案している.本研究では,インパクトプレートを実際に小渋ダムSBTに導入し,人為的に置土土砂を流下させることで現地キャリブレーション実験を行った.その結果,流下土砂量と出力には良好な相関があり,土砂量のリアルタイム計測に有効であることがわかった.また,従来不透明であったトンネル内の時間的,横断的な流下土砂の分布特性を明らかにすることに成功した.