2018 年 74 巻 5 号 p. I_1051-I_1056
矢野ら(2018)により開発された流域全体の可能最大流木発生量に相当する流木発生ポテンシャルと橋梁位置での相対的流木災害リスクの評価法について,流木集積による氾濫発生に起因する経済損失を計量したリスク評価法への改良を試みた.平成24年と同29年の九州北部豪雨で計3回被災した大分県日田市の花月川流域を対象に評価した結果,従来の評価法による流木の集積傾向の評価では分からなかった橋梁の流域内での位置,洪水時の流量,地形条件等に依存した流木に起因する氾濫状況を予測し,治水経済調査マニュアルに準拠した被害額を算定することで,現実的な流木災害リスク評価が可能になった.また,花月川における橋梁改修による流木災害リスクの低減効果が定量的に明らかとなった.