2018 年 74 巻 5 号 p. I_1363-I_1368
全国の河川において,分布型流出モデル等の降雨流出モデルや一次元不定流解析モデル等の洪水追跡モデルを使用した洪水予測システムが導入され,水防活動や避難誘導に活用されている.モデル誤差については,既往の実績洪水データ等を用いた再現検証によりそれを最小化することが可能であるが,時々刻々変化する実況・予測雨量誤差や河道状況の変化に起因する予測誤差を最小化する方法には未だ課題が多い.
本論文では,まず,予測雨量誤差を予め把握したうえで予測結果を活用するための方法として,確率統計解析を用いた予測雨量の上限値・下限値の算定方法を提案した.また,洪水到達時間の長い河川流域における実況雨量誤差等に起因する予測誤差を補正するため,一次元不定流解析モデルに対するデータ同化手法について,多地点順次フィルタリングを提案し,水系全体の予測精度の向上を図った.