2018 年 74 巻 5 号 p. I_1423-I_1428
2016年8月北海道豪雨において常呂川直轄区間では堤防からの越水は7箇所確認されたが,そのうち決壊に至ったのは1箇所であった.越水したにもかかわらず決壊に至らなかった要因を明らかにすることは,堤防決壊時における緊急対策工事等の対策を検討する上でも重要な知見となる.この要因分析を目的に,堤体土質,内水状況の相違に着目した模型実験を行った.これより砂礫堤防の表面が粘性土の場合,越水から決壊までの時間は長くなる一方,拡幅段階では砂礫のみの堤防と差がないこと,堤内湛水は裏法面の侵食抑制に寄与することなどを示した.