2018 年 74 巻 5 号 p. I_355-I_360
善福寺川上流域において,一つの合流式下水道の雨天時越流水(CSO)越流口の集水域を対象とし,グリーンインフラ(GI)を導入した場合のマンホール溢水量及びCSOの抑制効果を検証した.溢水量は2つの年超過確立1/100および極端豪雨として2017年7月に発生した九州北部豪雨の降雨波形を用い,CSOについては観測降雨による年間の降雨波形を用いた.GIは,戸建住宅では50%の樋と桝との連結を切り,前庭は雨水を浸透させる雨庭(浸透型植栽空間)にする.また,道路や学校,公園等でも透水性の舗装や緑地等による流出抑制を行う等の計画を行った.全対策を導入することで,(1)溢水量はどの降雨波形においても90%以上の抑制がみられ,(2)年間のCSO発生回数・発生量を大幅に削減できた.都市の洪水及びCSO対策として,GIの導入は非常に有効であることが明らかとなった.