2018 年 74 巻 5 号 p. I_973-I_978
洪水時に河床波が形成されると,土砂運動や通水抵抗が変化することは広く認識されている.しかし,河床波上を移動する個々の砂粒子の運動と河床波の発達や変遷過程との関連性を捉えた研究例は限られる.本研究では実河川において頻繁に見られる河床の3次元性に着目し,一定流量の条件下において,平坦河床から2次元砂堆を経て,3次元砂堆が形成される変遷過程を対象として,河床近傍流速と河床波上を移動する個々の砂粒子の運動を直接計測した.その結果,平坦河床から2次元砂堆が形成される期間においては,粒子の移動速度と流速成分の変動が2次元砂堆の形成に伴って抑制されていき,2次元砂堆から3次元砂堆に切り替わる時刻では特異的に流速成分の変動がほぼなくなることが確認された.その後,発達した3次元砂堆の形成においては,横断方向の土砂移動ではなく,流下方向の土砂移動の空間的な不均一性が重要であることが示唆された.