土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第64巻
雲存在下での大気陸面間の高周波マイクロ波放射伝達特性に関する検討
瀬戸 里枝会田 健太郎鼎 信次郎
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_1-I_6

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抄録

 長期的かつ広範囲にわたる複雑な雲水量分布の把握には,衛星マイクロ波の活用が必須である.衛星マイクロ波の適切な利用のために,地表面状態の非一様性が高い陸域では特に,雲を含む大気と陸面間の放射伝達特性の正確な把握が重要であるが,これまでその特性が十分明らかになっていない.本論文では,まず大気と陸面に跨る放射伝達の理論から,雲存在下での大気陸面間の放射伝達特性の理解に重要な変数を整理する.その上で,衛星マイクロ波による陸域雲水量推定の基礎情報として,陸面の射出と射出率,大気からの下向き放射について,現地観測と数値モデルを用いて検討した.その結果,鉛直積算雲水量が2kg/m2を超える厚い雲については,下向き放射の輝度温度が地表面の物理温度と近いことから,土壌水分などによる射出率の非一様性を考慮しなくても,陸域雲水量を妥当に推定できることが明らかになった.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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