日本全国の一級河川全109水系の河川流域を対象として，d4PDF領域気候実験で算出された全50メンバにおける過去60年分の極値雨量データと1988年から2016年までの計29年分の気象庁解析雨量を比較し，d4PDF領域気候実験の極値雨量の再現性を評価した．2標本Kolmogorov-Smirnov（K-S）検定の結果，九州および四国，紀伊半島のほぼすべての流域でp値が1%以下となり再現性が低いこと，それ以外の多くの流域でp値が1%以上となり再現性が高いことがわかった．2標本Anderson-Darling検定の結果は2標本K-S検定と同様の傾向を示した．また，流域面積3,000km2以上の流域で再現性が特に高く，流域面積が小さい流域でも再現性は必ずしも低くなかった．九州および四国，紀伊半島の河川は流域面積が小さいが，その原因はd4PDFによる極値雨量データの地域的なバイアスであることが示唆された．
