2019 年 75 巻 2 号 p. I_1129-I_1134
気候変動による極端降雨の頻度や強度の増加について注目が集まっている.気候の異なる二期間を明示的に分け,その二期間での極端降雨強度の増加について観測値とモデル値を用いて検討した例は極めて限られている.本研究では,日本を対象として気温上昇に伴う極端降雨の頻度や強度の増加について知見を得ることを目的とし,1時間から数日スケールの極端降雨を対象として,観測値とモデル値から示される極端降雨の頻度・強度の変化について調べた.日本域を対象とした場合に,降雨継続時間が短いほど極端降雨強度の増加率が大きいことが示唆された.モデルの過去実験の出力は概ね観測値と一致し,ある気温上昇帯では理論値とも近い増加率を示した.しかしモデルの将来実験出力については極端降雨を過小評価している可能性があるため,今後更なる解析が求められる.