2019 年 75 巻 2 号 p. I_1195-I_1200
本研究は,タイ王国における数か月先の降水量予測を試みた研究である.数か月先の降雨量は,大気・陸面・海洋での環境場が複雑な関係により左右されると考えられている.これらの環境場の変動をとらえるため,降雨量と9つの気候指数でのラグ相関を調べ,その結果相関に優位性がみられた気候指数を説明変数として,統計モデルの構築を行った.線形モデルである重回帰モデルと,非線形モデルであるGenetic programmingの2種類の統計モデルで予測を行った.結果,9月の降雨量予測において非線形モデルでは線形モデルでは表せない極地的な値の予測が可能となった.一方で,ダム管理などの実務的な利用には更なる改善が必要である.