2019 年 75 巻 2 号 p. I_1201-I_1206
本研究では,自己組織化マップを適用し,九州地方北部と中国地方西部を対象に暖候期の気象場パターンと豪雨頻度の関連性を調べ,広島県で発生した40年間の土石流災害事例がどの気象場パターンに属するか調べた.また,広島県で記録的な災害になった平成30年7月豪雨の気象場の特徴を調べ,過去の類似事例の特徴と比較した.その結果,広島の災害事例は,共通して下層ジェットと湿舌の影響を受け,互いに類似する特徴を持っていた.また,平成30年7月豪雨の事例は,豪雨発生の可能性が高い気象場パターンに分類され,2日間もそのパターンに晒され続けた結果として記録的な災害へと繋がった.その類似事例に2009年7月24日の豪雨事例があり,両者に共通する特徴として,福岡県と広島県に災害をもたらしたこと,豪雨域が広範囲であったことが挙げられる.