2019 年 75 巻 2 号 p. I_1207-I_1212
本研究では深層学習の1つである畳み込みニューラルネットワークを利用して全球表面温度画像からタイ国チャオプラヤー川上流域の2ヶ月後の降水量の季節予報を行った.また,モデルのニューロン数の変更による予測モデル精度の評価を行った.その結果,小さいニューロン数から,層を深くするにつれて増加させ,減少させるというように,起伏を生じさせたモデルの予測精度が高かった.次に,予測結果を月ごとに分別し,RMSE,MAE,RMSE/MAEの評価関数を用いて評価を行った.その結果,RMSE及びMAEはタイ国の乾期(11~4月)では大きい値,雨期(5~10月)では低い値となった.RMSE/MAEは正規分布に従うとされる値よりも高い値であり,この予測モデルは乾期よりも雨期の方が定性的に精度よく降水量を予測するが,雨期中の予測には外れ値が多く存在するという特徴を保持していた.