2019 年 75 巻 2 号 p. I_1219-I_1224
一般に透水性の河床をもつ河川では,伏流や湧出などを通じて河畔の地下水との水交換を行なっている.地下水位が河川水位よりも低い状況では,河床堆積層を通じた伏流浸透が発生する.このとき地下水位が河床堆積層よりも高い場合,浸透は飽和流となり,伏流浸透量の実用的な評価式が確立している.一方,地下水位が河床堆積層よりも低い場合,浸透は不飽和流となり,従来の評価式は過小評価となることが指摘されている.この場合の伏流浸透量について,著者らは過去に従来式に代わる評価式を提案したが,その適用範囲は地下水位が十分に深い場合に限定されていた.本研究では,地下水位が河床堆積層に近づく状況にも適用できる汎用的な評価式を理論的に導出するとともに,河床下の不飽和浸透流の数値解析に基づき,新たな評価式の有効性を検証した.