土木学会論文集B1(水工学)
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水工学論文集第64巻
扇状地における洪水調節の評価
大橋 慶介
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_1225-I_1230

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抄録

 扇状地河川では失水現象が河川流量を減少させることから,本来自然に備わった洪水調節機能を有していると言える.本研究では扇状地領域内における河川流量の増減に伴って変動する水の体積を貯留量と定義して,洪水前後の貯留量の変化を調べた.対象領域である長良川扇状地58.5km2に対して透水量係数1.0m2/sを与え,表流水および自由地下水の動きを河川流況計算で計算した.対象期間である2013年1月から2014年12月のうち2014年8月10日の最大流量4,740m3/sの出水イベントでは総流入量の約5%に相当する6,600万m3の貯留効果が認められた.ダム等と比較すると扇状地での洪水調節は洪水のピークカットへの寄与は小さいが,複数ピークの洪水波が連続する際でも貯留効果は継続するという特徴が明らかになった.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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