2019 年 75 巻 2 号 p. I_1255-I_1260
大規模な洪水氾濫に対する浸水対策の検討には,氾濫解析モデルが重要なツールとなる.近年,建物に大量の氾濫水が流入し甚大な被害が生じる大規模水害も生じており,詳細な浸水対策の検討のためには,建物への流入・流出を考慮した氾濫解析の確立が重要である.本研究では,汎用性も考え,デカルト座標系の氾濫解析を基礎とし,流入・流出を考慮した建物の水理モデルを導入して解析モデルを構築した.数値実験において建物の水理モデルの有無による特徴を明らかにし,質量保存の観点から解析モデルの妥当性評価を検証した.また,解析モデルの活用として,建物の盛土(地盤高の増加)の影響評価,建物被害額の評価,ドア・窓の破壊に関する影響評価を実施し,実用的解析のための課題を明らかにした.