2019 年 75 巻 2 号 p. I_1309-I_1314
本研究では,低平農業地域である新潟市亀田郷地区を対象とした排水解析シミュレーションモデルを構築し,末端調整池である鳥屋野潟における排水機場の予備運転および排水ポンプの目標内水位の引き下げによる,大雨時のピーク内水位抑制効果,内水氾濫被害軽減効果について検討した.その結果,排水機場の予備運転によるピーク内水位の抑制効果は,特に降雨イベントの初期に有効であること,目標内水位を引き下げることによって,内水位を継続して下げることが可能となることが明らかになった.また,確率降雨波形を用いた検討を行った結果,冠水被害は降雨のピークが後方にあるほど大きくなること,排水ポンプの目標内水位の引き下げによる冠水被害の軽減効果は特に水田に対して発揮され,降雨のピークが前方にあるほど大きくなることが示唆された.